闇に堕ちたシンデレラ
万引きなんてすぐに見つかってしまうとずっと思っていたのに、容易く成功してしまったことにあたしの心はドキドキと高鳴っていた。それと同時に、あたしの中で何かが崩れていく音がする。

「この感覚、すごく気持ちいい……!」

ポケットの中には煌めく宝物が入っている。それが愛おしくてたまらない。そして、もっとこの快感と宝物をと心が叫んでいる。

「いいゲーム見つけたかも……」

ほしいものはこうやって手に入れたらいい。それを初めて学んだ瞬間だった。



それからすっかりあたしは万引きの虜になってしまった。

自己流で万引きのススメを覚え、今日も宝物を探して街を歩く。街はあたしのクローゼットみたいに見えてきた。好きな扉を開けて好きなように着飾るんだ。

モラルと引き換えに手に入れたアクセやコスメは、継母に見つからないようちゃんと隠してある。でもたくさん盗りすぎたせいで隠し場所がいっぱいになってしまうから、最近は友達にあげたりもしてるけどね。
< 5 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop