闇に堕ちたシンデレラ
「最近、すごく可愛くなったよね?」

「そのネックレス、どこで売ってたの?すごく綺麗!」

友達だけでなく他のクラスの人からも声をかけられるようになって、あたしはかなり嬉しくなっていた。退屈で色褪せていた毎日が華やかに色付いていく。現実の世界も悪くなくなってきた。

他のどんなゲームだって味わえないスリルと快感は、回数を重ねるたびになくなっていく。だから予定していなかった店ですることもあるんだ。……今みたいに。

各国のお菓子が楽しめる専門店にフラリと立ち寄り、あたしはキョロキョロと店内に並べられたお菓子を見つめる。マドレーヌにブラウニー、ワッフルにチュロスまであるんだ。

店にはあたしと若い女の店員、そしてあたしより少し年上の女の二人組、それからフードを深く被った小学生くらいの男の子がいた。

「これ、すごくおいしそう……」

あたしが手に取ったのは、ベルギーから直接仕入れたというチョコレート。一粒一粒が芸術作品のように美しい。でもお値段は高め。
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