闇に堕ちたシンデレラ
この店の防犯カメラの死角にはなっているけど、店員の死角にはなっていない。店員はニコニコしながら仕事をしている。

どこかに行ってくれないかな、とあたしが思っていると女二人組が「すみませ〜ん」と店員を呼んだ。店員は「はい!」と返事をして女二人組の方へ行く。チャンスは今しかない!

あたしはサッとチョコレートをかばんに入れ、店を後にする。食べ物を盗むのは初めてだったけど、今回もうまくいった。

「お姉さん」

数百メートル歩いたところで、腕が後ろに引かれる。あたしがドキッと胸を鳴らせながら後ろを見ると、さっき店にいた男の子があたしの腕を掴んでいた。

「あなたさっきの……」

あたしがそう言うと、男の子は「僕、全部見てたよ」とあたしを見つめる。男の子の片目は眼帯で覆われているけど、白い肌に金髪でかなりの美形だ。ハーフなのかな?

「お姉さん、さっきチョコレート万引きしたよね?僕、ちゃんと見てたからわかるよ」
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