闇に堕ちたシンデレラ
男の子の美しさに見惚れていると、一気に気持ちが冷えてしまうような言葉を言われてしまう。あたしの顔から笑顔が消えた。

「で?あたしを警察に突き出すの?」

あたしは男の子を睨むように見る。でも、男の子は怯えることなく表情を変えずに言った。

「そんなことしないよ。僕は正義のヒーローじゃないし。ただ、悪いことばかりしていると必ずいつか罰が降りかかるからもう万引きしない方がいいよ」

「子どものくせに説教するんじゃないわよ!」

男の子の言葉に苛立ち、あたしは舌打ちをしてその場を離れる。男の子は本当にあたしを警察に突き出す気はなかったようで、スマホで電話をしたり、あたしを追いかけようともしなかった。

「誰にもあたしは捕まえられないのよ!」

まるでルパンみたいな大泥棒になった気分だ。狙った宝は見逃さず、必ず盗んでいく。なんかかっこいい。

「さて、次はどんな宝物を万引きしようかな〜」

次に万引きをするお店を絞りながら、あたしはもう空に現れ始めた月を見つめる。何となく、いつもより月の影が不気味に見えた気がした。
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