月夜に私は攫われる。

「そんなわけないでしょ。勿論 、見開きで三ページ」


い、言い切ったー。いい笑顔で言い切ったー。

私は一気に地獄へと落とされた気分になった。そんなのってないと思う。

私は胸の前で指を組むと涙目で懇願した。


「か、神様仏様、女神様、仁愛様!どうかノート見せて下さいっ」

「良かろうとも。椿は変なところで抜けてるから忘れてると思った」


私の勘は当たったねと言いながら、目の前には丸い字で数学Bと書かれたノートがひらりと差し出された。


「ありがとう!!もう仁愛大好きっ」
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