月夜に私は攫われる。
満面の笑みで叫ぶと親友は顔を背けてしまった。
仁愛はボッと顔を赤くすると、いいから早く写してよね!と言い残して自分の席へ戻っていった。
.......ツンデレだぁ。可愛い。
またほっこりして頬が緩みそうになった瞬間、我に返る。
や、やばい早く写して授業始まる前までに返さないと。仁愛まで被害を被ってしまう。
慌てて鞄からノートを取り出して天敵と向き合う。
──そうして一心不乱に猛烈な勢いで数字とアルファベットの羅列を写していく。
授業が始まる前までに何とか終えた私は仁愛にノートを返す時に思った。
........あれ、忘れてたことって宿題のことじゃない?......と。