月夜に私は攫われる。
脅される子羊さん
「椿花ちゃん、昨日の一年の超イケメンとどういう関係!?」
「んん?」
登校して席に着くなり、鬼気迫った様子で数人のクラスメイトに囲まれた。
鼻息を荒くして目を輝かせる女の子達から、何だか聞き覚えのあるワードが飛び出す。
一年.....イケメン...........昨日....?
「え、その人教室に来たの!?」
「うん、掃除の時に椿花ちゃんに用があるって....」
机に手を付いて立ち上がった私に一人がちょっとたじろぎながら教えてくれた。
.....マジか。絶対その用って本じゃないか。
正真正銘の親切な人だった....。
返してくれなかったらとか疑ってごめんなさいっ、と心の中で土下座する。
そして、見事にすれ違ったなぁと肩を落としていると。
「おい沢野。そのイケメンから伝言預かってるぞ」
茶髪で目付きの悪い、背の高い男子が会話を聞いていたのか女子達の間を割って入ってきた。