月夜に私は攫われる。

「いや、なんか分かんねえけど背筋が凍るつーか、寒気?がした。...お前、気を付けた方がいいぞ」

「ひっ、き、気を付けるって何に....?」

「さァな」


慄いて震える私に、千秋は意地悪に口の端を吊り上げて素っ気なく返した。

何それヒドイちゃんと答えてよ怖すぎるんですけどぉー!

と心の中で叫んで千秋を睨み上げようとした、その時。




「こら千秋っ!なーにわたしの可愛い椿を怖がらせてんの!!」

「いッて.....!?」


ちょうど今登校したばかりの仁愛が半泣きになっている私を見るなり、鞄を肩にかけたまま千秋の腕を殴った。...ナイス仁愛!!

千秋は殴られた方の腕を押さえて飛び上がる。
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