月夜に私は攫われる。



......ついに来ました一年二組。


教室前に立って私はゴクリと喉を鳴らした。
心臓が嫌な音を立てて加速していく。


うわあなんか緊張してきた.....。


思えば学年が違う教室に来るのは初めてかもしれない。

一年生からの誰ですか?って言いたげな視線がちょっと恥ずかしい。


...頑張るんだ私、これを乗り越えれば仁愛とデートできる!!と意気込んで半開きのドアに手を掛けた。


あのすいません、と声を掛けると近くにいたツインテールの可愛らしい女の子が驚いた顔で私を見た。


取り敢えずええと、と声を出してからはたと思い出す。


....そういえば私イケメンくんの名前知らなかったわ。


固まる私を困惑の表情で見つめる後輩ちゃん。


うーん、どうしよう。

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