月夜に私は攫われる。


...いやでも、私を呼んだってことは教室にいるよね...?


「あの、今この教室に格好良い男子っていますか?」

「はあ!??」


言い方に語弊があったのだろうか。なぜか隣にいる仁愛が叫んだ。後輩ちゃんは、え??と眉を寄せた。


「ちょっと椿っ、大事な用ってまさか男だったの!?」


わたしとのデートを差し置いてっ、と鼻息を荒くする仁愛。

ずいずいと迫り寄る仁愛の顔の前に焦って両手を置く。


「待ってなんか誤解してる」

「誤解って何?」
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