月夜に私は攫われる。

今の仁愛はまるで彼氏の浮気を責める彼女みたいだ。

私は至極真面目な顔をして言う。


「大事な用って言っても、仁愛程じゃないよ。仁愛が1番に決まってるじゃん」

「な、もう、椿ったら!!」


はいかわいい。

顔を両手て覆って頭を振る仁愛に頬を緩める私とは対照的に、後輩ちゃんは顔を引き攣らせている。

...なんかごめんね。


頬をヒクつかせながら、後輩ちゃんは恐る恐る口を開いてくれた 。


「あ、あのー、もしかして浅霧君のことですか?」 

「浅霧くん?」

「あそこにいる人です」

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