月夜に私は攫われる。

ずいっと整い過ぎている小さな顔を近づけられ、私の心臓がドクンッと大きく跳ね上がる。


「あ、浅霧くんと比べちゃったらあんまり....」


どんなイケメンでも霞む気がする。

浅霧くんは満足気に目を細めた。


「そうですか、良かったぁー」

........何が??

もしかして自分よりもイケメンなら許さない....とかそういうこと?


「その人の事、もう思い出さないで下さいね」

「......はぁ」


私はげんなりする。好きで思い出したわけじゃないのに。

......たった今あなたに黒歴史を掘り起こされたんですが....。

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