月夜に私は攫われる。
ムッとして見上げると、浅霧くんは慌てたように視線を彷徨わせた。


そしてしどろもどろになりながら唇を開く。


「......先輩って、今は....その、好きな人とかいますか?」

「え....?今?」

「はい」


浅霧くんが期待の眼差しを向けてくる。

.....恋バナが好きなんだろうか。


でも知り合ってまだ短い相手に話すのは何だか気恥しい。

私は目線を下げて、照れ笑いを浮かべる。


「まあ、いるかな.....」


......正確に言うと、ちょっと良いかもと思った人だ。

私は、結構筋肉質な男子が好みだ。

フェチというわけでは無いが、つい目で追ってしまう。
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