俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
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北の大地にもようやく、春らしい陽だまりが顔を出し始めて、空気の暖かみを感じられるようになった。
明日はもう、4月。
「今日はせっかくの非番なのに、お付き合いしてもらってごめんね」
「いえいえ。こんなまったりとした春の陽気ですが、我々にとっては緊急事態宣言中でしょ。我々には」
「あはは。パンデミックと一緒?せっかくの休み、奥さんとデートしたかったでしょ」
「羅々は夜勤明けで寝てますよ」
遅い春の訪れの昼下がりに。
音宮陰陽事務所の若き代表が、本日非番の警察特別班長をお呼び立てした場所というのは、お馴染みのカフェ、ペンタグラム。
こんなのんびりしたくなるような陽気ではあるが…実は言葉の通り、先日、緊急事態というフラグが立ってしまったのだった。
緊急事態というか、戦いの始まりというか。
「菩提さん、綾小路さん、すみません。オーナー今こっちに向かっているようです」
ペンタグラムのアルバイト店員、咲哉がスマホ片手にカウンターからテーブル席に声を掛ける。
それに対して剣軌は「ありがと」と笑顔を向けて答えた。