俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

「…さて、分子変換して一人だけ逃げるつもりかの?」



白肌魔族の姿は消えたが、黒い翼の彼の姿もない。

辺りに黒い羽根がフワフワ浮いていることから…ひょっとして、神威さんの攻撃を逃れた時と同じ方法を取ったのか?



少年神様と神威さんが、目を合わせてお互い共に頷く。



「爆発させれるものならさせてみい。おまえさんにもうそんな力、残ってないだろけどな?…それに、一人で抗ってみるか?結界の外にはたくさんのお仲間が待機しとるぜ?」



クックッ…と、相変わらず悪そうに笑う少年神様だが。

「…んっとに、よくも『黒翼』のイメージ悪くしてくれやがって…」

ふと、眉間にシワを寄せて、嫌悪の表情を見せる。



彼の忠告に素直に従ったのかは知らないが、浮かんでいた黒い羽根は徐々に一つずつ消えていく。

彼は…逃げるのだ。

「い、いいのか…?」

その光景を見て咲哉さんが呟くと、美奈人は頷く。

「…あと二人ほど大物が控えている。リグ・ヴェーダを失って好き放題やられたらたまらんからな。…ヤツは最後でもいい」

「さっき真凛、殺ろうとしてたよな?」

「むひひ。まさかの賭けに勝ったんですたい」

…あの白肌が間に割り込んでくるって予想してたの?

凄くない?



そして、黒い羽根が全て消え去り、空気の澱みが無くなったように思えた。

< 127 / 541 >

この作品をシェア

pagetop