俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

…だが、判断云々もなんも、ない。





えーっ。おともだちこれない!

ざんねんだけど、おつとめごくろうだな!





…聞こえてしまった。

「わん!」の言葉の下に被せるように、言葉が、声が。

やはり、その類の犬だったか。

思わず凝視してしまうと、なずなが俺の隣に座って教えてくれる。



「ぽめは豹牙の契約している聖獣なんだ」

「せいじゅう?」

「うん。見た目はポメラニアンだけど、『白虎』っていう聖域在住の四神」

豹牙の聖獣…?



って、さっき。

彼の横には、白い虎が寄り添っていた。



ひょっとして、これ?

これが、さっき魔族の手を一生懸命噛み付いていた?

…さっきのは虎だったのに。これ、犬じゃねえかよ。バグってんの?しかも、リアルわたあめ。



「…ヨーテリとは違うの?」

「ヨーテリは式神。ぽめとは出どころが違うんだ。ぽめは聖獣だから、身分も高い」

犬の出どころ、身分って何…?



恐る恐る視線を送っていたが、その真っ白ポメラニアンは、じっと俺を見つめ続けているようだ。

すると、また「わん!」と吠えている。




おっす!おら、ぽめ!

よろしくな!




椅子から転げ落ちそうになった。
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