俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
やっと手に入れたこの魔族の力が一瞬で消える、神童の【相殺】。
目の当たりにした時には、恐怖は愚か、絶望さえ感じた。
《一番姑息な方法で、奴らを消せ》
そう言われて、大和総本山が誇る【神童】の陰陽師二名を排除。
あの時の達成感といったら半端なかった。
今の自分に、怖い者はない。
魔族が持たない繊細な知恵を持つ、人間。
人間が抗うことの出来ない兵器のような力を持つ、魔族。
両方を兼ね備えた我々がこの世で最強である、と。
そうして、次々と立ちはだかる邪魔な陰陽師、神童と相対する。
だが、上手く事が進まず、徐々に劣勢を強いられる状況となっていた。
原因は、神童の【絶対従者】という存在である、竜堂夏輝という男。
他の陰陽師や神童と違って、神力で力を倍増させた体術に優れていた。人間離れした俊敏なスピードに、我々としては着いていくことが出来ない。
魔力の打ち合いをする前にボコボコにされて、動けなくなったところで神童の【相殺】で何人もの仲間を失った。
正直、目障りである。
目的を達成することなく、我々が全滅させられるのでは、という危機感があった。