俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
しまった。あれが従者に力を託している理由が、ここで解るだなんて。
単に弱いからではない。
あのガーディアンが憑依型で、身を滅ぼしかねないほど力が強すぎるが為に、敢えて従者に『分け与えた』程よい量の力を託しているのだ。
天界の高貴な身分である天部衆、将軍族がガーディアンとなる場合は、『召喚』で個体を呼び出すのではなく、神童本人に憑依し、神童の体を使って戦に挑むことが多い。
まさか、天帝の側近、四天王という大物と契約している神童がいるだなんて!
気付いて声が出た時には、もう遅い。
『…ナーガ、逃げろ!結界を解くんだ!』
だが、結界越しでは声が届かないのか、彼女がこちらに視線を移す様子もなく、突如現れた強敵を前に狼狽え、後退りをするばかりだ。
そうこうしてる間にも、東方将軍・持国天を憑依させた神田桃李は、大きく振った一太刀で、残りの魔族2体をあっという間に切り刻んでしまう。
盾になる魔族がいなくなり、彼女は一人となった。否が応でも、持国天と一対一となる。
『…このっ!』
腹を括ったのか、彼女は顔を強張らせ、自分の身を守るため、手を挙げて攻撃に挑んだ。
(だ、ダメだ!そいつを相手にするな!)