俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
女にしては低めの声を発し、クックッ…と笑う女性は、【金剛夜叉王】と契約している神童だ。
陰陽師総本山総帥の孫ーー俺らが手を掛けて命を奪った夜薙和羅の妹、陰陽師の雨宮ゆずら。
またその後ろには、あの音宮陰陽事務所の三人が揃ってこっちに殺伐とした視線を送る。
先頭にいる雨宮ゆずらは、背中の向こうである結界内を指差した。
『…これでようやく、マントラの四大幹部の一人を崩すカタチとなったな。…見ろよ?リグ・ヴェーダ』
ダメだ、ダメだ。
俺たちの描いた未来を拝むことなく、力尽きるだなんて。
辿り着いたその向こうに、君がいないなんて。
『腐れた愚か者は、無に還るがいい。……提頭頼吒相殺【修刀羅】』
視界を遮るほど放たれた光に、届かないとわかっていても手を伸ばす。彼女の悲鳴だけが聞こえて。
心の底で奇跡を願ったが、そんなもの起こるわけがない。
絶望感が体を襲い、重くのし掛かり、震える。
そんな様子を見て、雨宮ゆずらは声を出して笑う。
『…なんなら、今ここで、おまえの首も掻っ切ってやろうか?あぁ?』