俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
忠晴さんのカンは正しかった。
伶士の異変は、こっちの世界の類のものである、と。
私が察知した結界は、質は別として強固なものだ。
『術者を寄せ付けないため、術者が設置した結界』で間違いない。
イコール、中で悪いことをするために設置された結界、という悪意のあるものだ。
それに、悪いもの、障気が多少漏れてるような気がする…。それが、私の探知に引っ掛かったのだろう。
「な、なずなさん、伶士さまの身に何が…私はどうしたら…」
「大丈夫だよ、忠晴さん。取り敢えず、探ってくるから、ちょっと待ってて」
狼狽えかけた忠晴さんを宥めて、私は車を降りる。
エントランス…には入らず、マンションの裏手に回る。
(正面から向かって…左か)
結界の放つ障気を感じた近くに場所を留めて、見上げた。
何階かは…わかりづらいな。
中で何が行われているのか、どんな様子なのか。確かめる必要がある。
こういう時に、便利なヤツがいる。
ジャケットの内ポケットから、一枚の紙を取り出す。
式神を呼ぶ呪符だ。