俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

「…で、忠晴さん、どうだった?」



ハンドルを握って前を向いている忠晴さんに、先程の伶士の様子を伺う。

忠晴さんは短くため息をついてから、口を開いた。



「やはり、別人でした」

「………」

別人とは…やはり、バカ兄貴のようだったということを言いたいのだろうか。



「昨晩は誰と何していたのかを今一度問い正しました。ですがやはり『友達と勉強していた』と言い張るのみで。本当ですか?と突っ込んでみたら、『あはは』と笑って誤魔化されました」

「………」

普段の伶士とは違って誤魔化し方に余裕がある。やはり、バカ兄貴みてえ。ため息つきたくなるのもわかるわ。



「それに…」



そう言い掛けて、忠晴さんはまたため息をつく。



「何?」

「今日の練習試合、なずなさんが観に来るかもしれませんよ?…と、話してみたんですよ。勝手な真似してすみません」

私が来ると伝えた?…へぇ。

特に支障はないけど…カノジョの話、別人かどうかの判断を見るには、むしろ効率良い質問かも。

「いや、いいよ。…で?」

「『ふーん、そう』の一言で終わりました」

「………」
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