俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
…だなんて、私が思っていても、恐らく向こうはそうではないのだ。
人の心ってヤツは、微妙だ。想いが通じ合って恋仲になったとしても、こうしたすれ違いなんて当たり前に生じる。
「そういうわけで、私の判断としては、伶士さまはやはり別人です。なずなさんに関する話に食い付かないなんて、あり得ません」
「そ、そう…」
「そして、今日も洗濯物をお願いされました。学校で解散だそうなので、そこで」
結果は、やはりクロか。
伶士は何らかの術で意識操作されていることには、間違いない。
それ故、普段意識が向くことにも向かなくなったのだろう。
だとしたらいったい、どこのどいつなんだ?その、意識操作をしている奴は。
一緒にいる魔族の女か?…その女は誰だ?何者だ?
「でもまさか、こんな形でなずなさんが伶士さまの試合を見に来られるとは思いませんでしたよ…伶士さまは別人になってますが。正気だったら、さぞ大喜びで張り切るでしょうに」
「そう…」
人生って、上手くいかないもんですね。