俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
忠晴さんは残念そうにしていたけど、状況が状況だ。
だが、忠晴さんにも、あの女を見かけたら教えて欲しいと告げて、試合中私はナリを潜める。
キャップを深く被って、陰に隠れて。みんなにも見つからないように、伶士の様子を見守り続けた。
…途中、伶士の活躍に目を奪われたりしちゃって、ハッと我に返ることもあった。
でも、意識操作されてんのに、試合をいつも通りこなせるとは、相当手練れの術者だろうと頭を切り替えて。
はぁ…と、情け無いため息が出る。
普通のカノジョなら、そんなことに一喜一憂してもいいのに。
私には、それが出来ない。
齢16の女子高生だというのに、それが許されない。
ホント、正気の沙汰じゃない。
胸が苦しいのか、切ないのか。
でも、そんなことにウダウダ言ってもいられなくて。
変に入り混じった感情を、仕事のプライドで抑えるのに精一杯だった。
そんな事がありながら、試合中の監視を続けること、二時間弱。
伶士にも、特に変わりがなかった。
その女も…現れることがなかった。