俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

バシン!という音と衝撃を受けて、仰け反りそうになる体を、足に重心を置いて堪える。

間一髪だった。

だが、獰猛に笑いながら女は次の一手をすでに翳している。

…もういっちょか!

タイミングを見ながら、息を吸い込んだ。



「…ア・ビラ・ウンケン・ソワカ!」



力を込めて両手で術陣を押し返すが、更なる一手が襲い、私の蓮華曼陀羅陣はいとも簡単に音を立てて粉々に破壊されてしまった。

…何っ?力負けした!

タダの一手で結界の術陣を打ち破るとは、相手は相当手練れ、そして…格上な証拠だ。

私の頭に過った推測が、確信となる。



…彼女は、『姿を現さなかった』んじゃない。

『すでに現していた』んだ。



あの、蜘蛛の姿で。

伶士の体にずっと貼り付いていた。

…故に、私の行動も全て把握していたに違いない。コソコソしていたのも、見抜かれていたのだ。



そして、蜘蛛から人間の姿へと変えることが出来るほどの、力を持つ。

人型魔族の更に上の魔力を持つ、『稀少種』と呼ばれる魔族。

最近まで相手にしていた脳筋人型魔族『色鬼』より、更に更に上の格上だ…!
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