俺のボディガードは陰陽師。～第五幕・白昼夢～

最悪の最悪予想はしていたが、まさか本当に『稀少種』だったとは！



「ナウマクサンマンダポダナン・ギャナウ・サンラ・サンラ・ソワカ！」



再び真言詠唱。再び霊力掌中して、今度は結界を作り出す。

…こんな格上相手に、結界無しで戦うなんざ、周りを巻き込むのは必須。異空間に獲物を引き込む。

先手を取って結界を張る。それは戦の主導権を握るといっても過言ではない。

掌にはピンクの光を灯した透明の球体が風をたててくるくると回る。

掌を通して霊力を流し込み、形を作らせ次第に大きくなっていく。



…だが、そこで誤算が。



結界を立ち上げ、獲物を異空間に引き込むことが出来たまではいいが。

標的の彼女の背後に、招かれざる客がいたのだ。



（伶士？！何で…！）



私は、目の前の獲物、女だけを標的にこの結界を作り異空間に引き込んだはず。

なのに、彼女の後ろには、いるはずのない伶士の姿がちゃっかりとあった。

何故、こんなことに…！



「…妾が其方の思い通りにさせると思ったか？」