俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
再び女と目が合うと、またニヤリと笑みを向けられる。
「…『【大樹緊那羅】の絶対従者には、注意せよ。奴は怪物だ』と、予め忠告されておる」
…その時、私は確信してしまった。
聞き覚えのあるフレーズを耳にして。
『怪物』
それは、あのヤローが私を表現する時に使う言葉だ。
私のどこを恐れてそう言うのかは知らないが。
…この女、いや魔族は。
リグ・ヴェーダの仲間…!
「…妾とて、神力でちょこまかされるのは性に合わん。煩い蝿は即座に捕らえるまで…なのでな?」
その獰猛な笑みで、見えない圧をかけてくる。あまりの威圧感に、拘束されていない部分ですら凍り付いたような感覚に陥った。
まるで、蜘蛛の巣に囚われた虫のように。
…だが、怯むな。怯むな?
ここで何もせずやられるわけにはいかない。
衝撃を受けて動揺する前に、次の一手を考えろ。
ピンチをチャンスに変える、次の一手を。
その時、ハッと気付く。
私の左手を、あの女自らが放った蜘蛛の糸が拘束しているのだ。
…故に、射程距離範囲内にいる。
そんな状況を察しては、口が無意識に開く。