俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
だが、その声に反応して、伶士の腕には更に力が入る。
更に締め上げられては、意識が飛びそうになってきた。
伶士を使って攻撃してくるなんざ、この女…!許されない!
けど、そんな感情を顕にすることもできず、酸素の行き渡らなくなってきた頭の中は朦朧としてくる。
や、やばい…。
すると、ガラガラッと崖崩れの音がして、次第に小刻みに地面が揺れてきた。
…し、しまった!
私の意識が途切れて…結界が崩れる!
自分の結界を崩されると、体に多大なるダメージを負う。
それだけは避けないと…!
けど、こんな首を絞められている状態じゃ、真言詠唱も印も結べない。
どうすれば…!
そんな事を頭の中でぐるぐると考えながら、崖崩れの音と地鳴りが増してきたその時。
「わんわんワン!」と、耳元でけたたましく吠えられ、ハッと我に返る。
私を締め上げる伶士の両腕の上にはいつの間にか、相棒である犬がちょこんと乗っかっていた。
おまえぇぇぇっ!
よくもなずなちゃんをぉぉっ!
…ヨーテリか?!