俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
尻もちをついた状態の私を、伶士は見下ろしている。
光のこもっていない、鋭さのある冷たい瞳で。
まるで、ゴミでも見ているかのように。
それに対し、ヨーテリは敵意丸出しでワンワンと低く吠え続けていた。
「無様よのう?…捨てられた女は」
クックッ…と、女は口元を隠して笑う。今のこの茶番劇に満足したかのように。
そして、伶士の傍に寄り添い、腕を絡めているのだ。
伶士と揃って、私を上から見下ろす。
そして、その口から告げられる言葉に、少なからず動揺を誘われるのであった。
「…我が名は、【花魁女郎蜘蛛】」
その事実は、私の全身の血の気を引かせるには十分の内容だった。
(花魁女郎蜘蛛…?何だって?!)
知る人ぞ知る、そのビッグネームに頭の中を真っ白にさせられる。
と、同時に腑に落ちる点があるのは否めない。
しかし、疑問だらけなのは間違いなくて。
花魁女郎蜘蛛が、なぜ人間界に?!
まさか…あのヤローが連れて来たのか?!
こんなビッグネームを、どうやって?!