俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
だとしたら、全てが迂闊だった。
私の今までの判断と行動は…掌の孫悟空状態だったのである。
伶士の腕を取り、私を上から見下ろしたまま勝ち誇った笑みを向ける女…花魁女郎蜘蛛は、地に座り込んだままの私に告げる。
「自分の身の程を理解したのならば、我々の邪魔をするでない。妾と愛しい人の邪魔をするな…」
威圧されたと同時に感じた魔力の圧は、半端ではない。
それは、反撃の意志を奪うほどだった。
何も出来ずに座り込んだまま、ただ奪われていく。
伶士を連れて、ここから立ち去っていくのを黙って見守るしかなかった。
ヨーテリの威嚇の咆哮だけが、ワンワンと響いている。
寄り添って歩く二人の背中を見つめると、なんとも複雑な気分だ。
くそっ…。
いろんな思いが絡み合った複雑な感情、悔しさを胸に抱えて項垂れる。
…だが、事態はややこしい方向へと向かってしまう。
(…ん?)
ヨーテリが私に向かって必死に吠えているのに違和感を感じた。
なずなちゃん、まずい!
人、人だ!
人…?