俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

ぎゃんぎゃん喚く筋肉ゴリラと私の前に姿を見せたのは…部ジャージ姿の私の親友。

川村萌梨こと、むーだ。

スズチカを追ってやってきたんだろうが、偶然にも居合わせた私の姿に目を丸くしている。

「なずぽ、おまえさんこんなとこで何を…」

問いかけられて、口を開こうとした途端。

筋肉ゴリラが割って間に入った。



「むー!事件、事件だ!伶士のヤツ、浮気だ浮気!迎えに来たなずぽよ突き飛ばして、違う女と腕組んで帰りやがったぁぁぁっ!」

「は、はぁ?伶士殿がぁ?」



スズチカの突然の告発に、むーは驚愕の表情を見せると、私の方をチラッと見る。

私は小刻みに首を振って、無言で目配せをした。

すると、むーは「あ、あぁ」と声を出して何度も頷く。



…むーは、中学からの親友。

私が陰陽師であることを知っている唯一の一般人の友達。

実は昔、親父がよく通っていたすすきののキャバクラで、むーの母親が働いていた。

『陰陽師の音宮さん』は、すすきのの商売人の間では有名で、中堅ホステスだったむーの母親は、親父が陰陽師だということを知っていた。
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