俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
『音宮』なんて名字は珍しい。
中学入学して同じクラスになった私らの名簿を見て、むーのママが気付いた。
そして、親父とむーのママは再会し、家族ぐるみでお付き合いをすることに。
…剣軌の存在も、親父があんな状態になっているのも、むーとママは知っている。
そんなわけで、この目配せは私らの昔からの合図。
『実はこれ、そっちの件』という。
「おぉー。軽く修羅場だったというのか。ほぉ」
むーが冷静にスズチカに返答している。
察してもらえたようだ。
「…で、どゆことだ。なずぽ」
むーがまばたきをして目配せを返してくる。
どんな嘘で乗り切るんだ?という返答だ。
「あ、あ、あー。えーと…」
むーには後で本当の事情を説明するとして、まずはスズチカに嘘の説明をしなければならない。
時間もうちょい欲しい!と思いながらも、苦し紛れに出てきた話は…これだ。
「さ、さ、催眠術…。そう、伶士、あの女に催眠術かけられてんだよ!」
「はぁぁ?催眠術ぅ?」
スズチカは怪訝な顔を見せるが。
あながち嘘でもない(…)。