俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

『音宮』なんて名字は珍しい。

中学入学して同じクラスになった私らの名簿を見て、むーのママが気付いた。

そして、親父とむーのママは再会し、家族ぐるみでお付き合いをすることに。

…剣軌の存在も、親父があんな状態になっているのも、むーとママは知っている。



そんなわけで、この目配せは私らの昔からの合図。

『実はこれ、そっちの件』という。



「おぉー。軽く修羅場だったというのか。ほぉ」



むーが冷静にスズチカに返答している。

察してもらえたようだ。



「…で、どゆことだ。なずぽ」



むーがまばたきをして目配せを返してくる。

どんな嘘で乗り切るんだ?という返答だ。



「あ、あ、あー。えーと…」



むーには後で本当の事情を説明するとして、まずはスズチカに嘘の説明をしなければならない。

時間もうちょい欲しい!と思いながらも、苦し紛れに出てきた話は…これだ。



「さ、さ、催眠術…。そう、伶士、あの女に催眠術かけられてんだよ!」

「はぁぁ?催眠術ぅ?」



スズチカは怪訝な顔を見せるが。

あながち嘘でもない(…)。
< 229 / 541 >

この作品をシェア

pagetop