俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
しかし、一度口に出したら飛び出る飛び出る、嘘のエピソード。
「あ、あ、あの女は凄腕の催眠術師なんだ!そ、そんで、伶士のこと気に入っちゃってさ、催眠術かけて連れてっちゃったんだよ!わ、私は催眠術を解けと追いかけてる最中でさぁー?」
あながち嘘でもないけど、無理がある…。
スズチカの背後にいるむーからシラッとした視線を送られていた。
だが、この筋肉ゴリラは意外にも、素直に驚いた反応を見せたのである。
「さ、催眠術!そ、それは大変だぁっ!伶士を虜にする催眠術?!だから、伶士はなずぽよにあんなに冷たくしたのか!」
「あ、そ、そう…」
「ひ、ひどい女…!伶士を操って自分に夢中にさせようって魂胆か?じゃあ伶士はある意味被害者か?!」
「そう、そうなんだ」
「な、なんてこった!なんて憎たらしい被害者だ伶士は!イケメンだから調子に乗ってバチが当たって…少し死んだらいいのに!」
「………」
スズチカ、おまえが脳筋でよかったよ…。
疑いもなく、私の無理ある言い分を信じとるわ。
というか、正義感の中に汚い嫉妬を見たような気がしないわけでもない(…)。
本当にわかってんのかどうか不明過ぎる。