俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
『その話の流れでいくと、忠晴さんからの相談があった時点でまず報告じゃないのか?!』
「はい…」
『はい、じゃないだろう!敵の素性もわからずに仕掛けるヤツがあるか!』
「………」
『何を黙ってるんだ!反省してるのか!』
言い訳も返事も黙る事も許されない。
容赦のひとつもないこの男にかかれば、逃げ道なんてどこにも無い。切ないわ…。
普段は穏やかな口調でみんなの前にいるのに、私にだけはどうも辛辣だ。
それは、保護者、兄弟子などのいろいろ責任あっての態度だから、仕方ないとは思うけど。
もう、苦笑いするしかない。
『しかし、相手が花魁女郎蜘蛛か…。間違いないのか?』
「うん。そう名乗ったし、あの魔力量は間違いないと思う」
『本当にあのクソヤローと関わってることで間違いないんだな?』
「…うん。私らの情報を予め得ているようだし。それに、私を『怪物』と呼ぶのは、アイツしかいない」
『…そうか』
剣軌の言葉が途切れて、無言になる。
剣軌自身も、この事態が信じられないのだと思う。