俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
…ここ最近、弓削先生と幾代さんや、総本山の研究室でも調べていてくれた、ヤツの黒い翼の効能という厄介なものもわかってきた。
私達が対峙した色鬼連中が、ダメージを負うと黒い羽根を大量嘔吐する。
もしくは、姿そのものを黒い羽根に変えて緊急離脱する。
恐らくは、ヤツの羽根を体内に取り入れているのだ。とまでは、考えてはいたけど。
ヤツの黒い羽根。
あれは、一種の増強剤だ。魔力のドーピング。
あの羽根ひとつひとつにヤツの魔力が凝縮されていて、体内に入れれば入れるほど、人間を食べずとも魔力が増強する。
そして、一定時間をおいて体に浸透させれば、黒い羽根に姿を変える緊急離脱も可能なのでは、との見解だ。
半人半魔であるヤツの羽根だから、人間の風味がして、魔族好みの味になる。
それで手が進み、ついつい許容量越えるぐらい食べ過ぎちゃって、ちょっとダメージでゲロってしまう輩もいるのでは、と。おいおい。酒のつまみか?
「でーも、この私にもわからないのよねぇ…」
幾代さんがしみじみと呟いて、腕を組んでいる。
思わず「何が?」と聞き返してしまう。