俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「魔族が【聖域】三宝の力を得ても、何のメリットもないと思うけど…」
神族の【聖域】は、魔族にとっては地獄。
踏み入ったら最後、【聖域】の空気に触れただけで、即座に封印もしくは消滅と言われている。
そんなのわかってるのに、手を出すかな。
「あらそう?私達の知らない何かがまだあるのかもよ?」
「そうかな」
「調べてみる価値はありそう。調べてみようかしら?」
途端に幾代さんの表情がウキウキし出す。
本当に…この人、未知の解明や調査が大好きなんだから。
苦笑いしか出てこないよ。
「…あ、そうだ。取り敢えず、これは渡しておくわ?返却はいつでも」
そう言って、テーブルの上にチャリンと音を立てて差し出されたモノとは、鍵だった。
「ソフィアパレス南郷通の1101号室の鍵よ?まあ…魔族に戸締りって概念あるかしら」
「ありがとう。オートロックだから、まずエントランスで必要でしょ。有り難く使わせてもらうよ」
恐らく、不動産関係者から調達してもらったと思われる、あのマンションの部屋の鍵。
その鍵は有り難く頂戴する。
これで、中への侵入は可となった。