俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
早めに戻るったって…。
剣軌は、行き先を告げない出張が定期的にある。
いったいどこで何をやってんだか。
ただ待機、監視。
ボスの指示なので黙って従う他ないのだが。
不調そうなのは明らかだ。さっきからマネのむーやアンナカ、曽根が伶士に声を掛けている。
しかし、首を振って拒否するような仕草を見せており、試合に引き続き参加しているようだ。
…この上なくもどかしさが込み上げてくる。
伶士は恐らく…【傀儡】の力で無理矢理試合に参加しているのだ。
大方『周りに異変を悟られないように』と、花魁女郎蜘蛛が操っているのだろう。
体調不良だからって、そこに伶士の意志は存在しない。
それに…。
(…ん?)
何だ?この違和感。
伶士の霊力の流れがちょっとばかし昨日と違うような気がする。
しかし、それが何かは分からずじまいだった。
…昨日も、ナンナナの現場に行ったり、定点カメラ監視は続けた。
部屋の窓は、一箇所のみ朝まで電気がついたままであり、そこに人影は映ってはいない。