俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
いったい、私は何を迷っていたんだろうか?
スマホで時間を確認して、立ち上がる。
何かに急かされるように、駆け足でLL教室から出て、学校を後にした。
誰もいない正面玄関前を駆け出して、校門を通過する。
傾きかけた太陽を背に。
(伶士…!)
今、奪い返しに行く。助けに行く。
それは、誰にも奪われてはならないものだ。
地下鉄行きのバスを丁度降りた時に、忠晴さんから連絡が来た。
今、伶士をナンナナに送り届けた、と。
『なずなさん、私めはこのまま昨日と同じく洗濯をしていて宜しいのでしょうか…。明日も同じ時間に…』
「大丈夫。忠晴さんは言われた通りにして。今日中にカタをつける」
すると、電話の向こうの忠晴さんの驚いた声が聞こえる。
『な、なんと!…この忠晴にも何か出来ることは…!』
「大丈夫だよ。今から一人で地下鉄で向かうから。忠晴さんは家で待ってて。今から伶士を助けに行ってくる」
『あ、あぁ、なずなさん。伶士さまにとって大切な御方は、この忠晴にとっても大切な御方。ど、どうかご自愛下さい…』
「………」