俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
言葉を詰まらせてしまった。
今から私が挑むこの状況は、とてもじゃないけどご自愛出来ない。
…でも、その気持ちは有り難いので素直に受け取る。
「…ありがと」
電話を切った後、気持ちを切り替えるかのように、首を振る。
さて…早急に伶士を救い出すには、どうするか。
一人で対峙して、もちろんタダで済むワケがない。実力差は先の通り。
…だが、こっちには切り札があるんだよ。
どんな格上の魔族でも、仕留められる可能性がある『技』が。
窮鼠猫を噛むことが出来るほどの、切り札だ。
地下鉄に揺られながら、その概要を思い出す。
それは『禁呪』と言われる。
我が一族、音宮家が契約しているガーディアンの一族、天界の八部衆・緊那羅族から授かり、共有している術だ。
その名は【黒炎の華】。
天界における、四大炎呪のひとつ。…炎の禁呪とでも言っておこう。
『炎』の術式は本来、他の水だの風だのある属性の術式と比べて圧倒的に攻撃力が高い。
それ故に、数ある禁呪の中で最強とも言われている。