俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
私ら陰陽師総本山が、伶士の【夢殿】の力を覚醒させないよう警護していたのは、リグ・ヴェーダも気付いていたはず。
だが、それはヤツの思うツボだった。
私達の警護こそ、ヤツの思惑通りだったのだ…!
(ははは…)
あはは…何だよ。もう、笑うしかない。
完璧、想定の範囲外じゃねえか。
まさか、冥王にやられた水晶鬼の『核』が、実は残っていたとか。
伶士と水晶鬼の半人半魔契約が目的とか、誰が思った?
まさか、花魁女郎蜘蛛が水晶鬼に惚れ込んでいるとか、繋がっているとか…考えたか?
剣軌の言った通り、魔界のパワーバランス事情も関係していた。
そこをまんまとリグ・ヴェーダが利用していたのだ。
恐らく、リグ・ヴェーダは…魔界で、冥王・耶雲に水晶鬼が殺られて混沌としていた花魁女郎蜘蛛や色鬼連中に声を掛けたんだ。
『君たちのボスを蘇生してあげるから、僕と手を組んで人間界に行かない?』なんてな。
考えていたプランを発表すれば、奴らはもうリグ・ヴェーダ様々だろう。安い口車でも乗るしかなかった。
伶士が…。
(魔族に、喰われる…)