俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
収集した情報を元に淡々と分析を重ねていたが。
そのひとつの事実が、意とは関係無しに私の体を震え上がらせる。
もしもの映像が頭の中を掠めた。
伶士が、魔族に喰われる。
伶士が死ぬ。
伶士が、この世界の何処にも居なくなってしまう。
どれだけ探そうが…。
(嫌だ…!)
伶士を死なせるなんて、それだけはダメだ。
護衛云々の前に、私自身が一人の女としてそれを許さない。
そんな忌々しいもしもの未来は、首をブンブンと振って払拭させた。
そうだ。
それは、私が許さない。
女である前に、私は…伶士のボディガードであり、陰陽師だ。
陰陽師なら、術者として魔族の横行を許すな。
ボディガードなら、主の身は命を張ってでも護る、その為に…!
そう繰り返して自分を奮い立たせる。
暗示をかけて、自身を洗脳するかのように。
それとは平行して、先程、頭の中で組み立てた殴り込みの算段を思い返して確認していた。
失敗は許されない。
絶対に、助ける。
すると、物音と汚い喘ぎ声が静まったのに気付く。
どうやら、終わったらしい(…)。