俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
ヤツの右手を獲ったまま、懐にグイッと引き寄せる。
クルッと身を翻して、瞬く間に背後を取った。
そして、背後から左腕をヤツの首に回す。
肘窩に首をしっかりと収めて裸絞の体勢を取り、そのまま締め上げた。
伶士の方をチラッと見る。
動いている様子はなく、全裸のままおねんね状態だ。
【傀儡】は届かなかったか。
しかし、それだけで安堵してはならない。
「…何をする!…こんなもので、私を倒せるとでも!」
「…思ってるよ!」
吠えて反論すると、私の殺気に反応したのか、右手で燻っていた黒炎がドン!と急激に噴き出す。
噴き出した炎は右腕に飛び火し、チリチリと焼き尽くしていく。
「何っ!…ああぁぁっ!」
最初は冷静な表情を見せていた花魁女郎蜘蛛だったが、右腕が徐々に黒炎に飲み込まれていく様子を目にして、ただの術式ではないと思ったのだろうか。
表情から、次第に恐怖が滲み出てきたようだ。
「…消えぬ!…消えぬ!おまえ、何をしたぁぁっ!」
「こんな小娘の出す炎なんて、自分の魔力で簡単に鎮圧出来ると思ったか?…甘い!これは【炎の禁呪】だぞ!」