俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

《なずなサン、なずなサン!ここで死んではいけません!…ああぁぁっ!》



(まさか…)



まさか、あのセリフは…そういうことなのか?!



ここで、一度は落ち着いていた不安が再び、焦燥感と共に込み上げてくる。

考えたくない結末が、あのなずなが燃えるという悪夢と共に頭の中に巡り始めた。



…いや、待て。落ち着け。

まだそうと決まったわけじゃない。



取り敢えず、情報を集めるんだ。

週末の様子、なずなの安否に繋がる情報を。

学校に来てない…なら、川村か?

事情を知ってる親友の川村なら何か知ってるかもしれない。

そうとなれば、3組に行って話を聞こう。



俺から顔を背けて拗ねているチカに「ごめん…」と、一声掛けて6組を出る。



…いや、出ようとしたのだが。



「…だあぁぁっ!…何でおまえわそんなにしょぼくれてんだよぉぉっ!」



背後で怒鳴られ、ビックリして反射的に振り返る。

だが、目の前には、鼻の穴を広げ、目の玉ひん剥いたものすごい怒りの形相のチカと。

顔面すれすれに迫る、チカの手刀。



「…えいやぁぁっ!」

「え?…ぎゃっ!」
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