俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
もう、茫然自失するしかないだろ…。
「土曜日の帰りに、なずな以外の女と腕組んで帰ったとか…間に入ったなずなを突き飛ばしたとか…それ、ホントに俺?」
何だよ、それ…。
俺がなずなに手を挙げる?
んなこと、命の危機でも絶対やんねえよ。自分自身が信じられない。それ、別の誰かじゃねえのか?俺になりすました別の誰か。
…な、わけないから、チカは御立腹だったのか。
「わっちは見とらんぞ。わっちが来た時には伶士殿はもういなかった。なずぽとスズチカがわいのわいのモメてただけだが」
「マジかよ…で、催眠術って何?」
「伶士殿は女に催眠術をかけられて操られて連れて行かれた…ってのは、スズチカの手前、なずぽがついた嘘だけどな。スズチカは恐らく、なずぽが恋に敗れてショックを受けて学校に行けなくなったと思い込んどる」
「は、はぁっ?何だよそれ!…それに、嘘?」
「おー。まさか『あっちの事件』をスズチカに喋るワケにはいかんだろ。それに、それは嘘のようで事実らしいが」
あっちの事件…?
「あっちの事件って、まさか陰陽師とか妖怪絡み…?」
「おー」