俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
でも、俺だって自然と笑みが溢れる。
どんな状態でいるか心配だが…会いたかったなずなに、ようやく会えるんだ。
そして、なずなに会えば、この胸のもやもや、わだかまりが解ける。記憶喪失の謎と共に。
…しかし、枯渇した思いが前に前に出てしまっていて、そんな考えがほとほと甘かったと気付く事になるのは、間もなく。
なずなの姿を目の当たりにし、記憶が無い間に起こった事実を知ったその時。
俺は、自分を殺したくなるぐらいの激しい後悔の渦に引き込まれることになるのだった。
…そして放課後、川村と合流する。
何となく川村の後に着いて行った先は、地下鉄行きのバス停だった。
そこで、ふと重大事項に気付く。
あ、俺…。
なずなんち、何処にあるか知らない…?
知らなければ、家にお邪魔したこともない…!
彼氏彼女の関係になって、一ヶ月半が経つというのに…!
いや、よく考えてみれば。
待ち合わせや食事はしたことあっても。
手を繋いで歩くとか、学校一緒に帰るとか、一度もしたことないかも。
お互い、部活や仕事で忙しいし。