俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
(…はっ!)
放課後デート、未体験!
これ、由々しき事態じゃないのか…?
現在の緊迫した状況にも関わらず、全くどうでもいい事を急に考えてしまう。
俺、彼氏の勤め、果たしてますか…?気配りがまだ足りないとか?
だから、俺たちの間にはまだ壁一枚あって、込み入った話を打ち明けて貰えないとか…!
本当に、今考えることじゃない。
だが、気になり出したら止まらず、乗り込んだバスの中でソワソワしてしまった。
「どした?伶士殿。キョドってるぞ。トイレはバス降りるまで待ってくれぃ」
「………」
催したわけじゃないよ。
ホント、今考えることじゃないね。やめておこう…。
しかし、なずなの家を知らないから始まり、ここまで話を展開させてしまうとは自分でも思いもしなかったぞ。
…それだけ、不安なんだ。
バスの終点である地下鉄前で降車し、川村の後に着いて歩く。
だが、足を進めていくうちに、ふと気付いたことがあった。
(…ん?)
違和感とは違う。
何だか、お馴染みの道を歩いているような。
だが、それはとある建物を見て確信する。