俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

制止されたら一歩も進むことが出来ず、その場で立ち尽くす。

何で?と、頭の中で疑問を処理していると、インターホンからガチャッと音がする。

同時に、インターホンの画面に映像が映った。

いた?なずな、家にいたのか?



(はっ…)



…だが、そこで俺は。

視界に映るインターホンの映像に、目を見張る。

疑問が湧き出て生じ、一瞬ワケがわからなくなったが…川村のやり取りを見て、まさかの現実を確信せざるを得なかったのだ。



『…むーか?』



インターホンのスピーカーから、低く掠れて弱々しい声が響いた。

随分と疲れ切った声だが、普段の声でないにしろ、それは探し求めていたヤツの声だとわかる。

…これは、なずなの声だ。

じゃあ、この画面に映っているのは…なずななのか?

嘘、何で…?



「おうよ。…何だその姿は」



やはり、川村も画面に映る違和感に突っ込んだか。

その様子を引き続き、離れたところから見守る。



…画面に映った、なずなの顔は。

いや…なずななのか?

と、思うくらい、変貌していた。



いや、なずななんだけど。
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