俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
川村の声が低くなり、語尾が上がる。
少しイラっとした口調だ。
…いや、その気分はわかる。
この萎びたきゅうり状態を『運良く』と表現して、こっちが具合如何程か聞いてんのに、スルーしようとするなんてどうかしてる。
なずなの心配してこうして来てるんだから、そこは重要だろ。
なのに、そんな『まあまあ』で避わされちゃ、俺だって、川村と同じ反応をしたかもしれない。
そして、今度はなずなが川村に窺う。
「…学校、どうよ」
「特に変わらないぞ。おまえさんは体調不良で休みになってる」
「ふーん…じゃあ、伶士は?…どうだ?」
名前を出されて、目を見張る。
こんな状況でも、俺の身の上を案じるような…?
「伶士殿?昨日は休んだが、今日から学校に来とる」
「ふーん…ならいい」
「いいって…連絡してんのか?」
「あ、いや…今はちょっと無理」
「無理?なぜ」
「まあまあ…。とにかく、伶士が大丈夫ならそれでいいんだ。問題ない…」
このやり取りに、愕然としたのは言うまでもない。
ゾワっと背筋が凍り、身震いしてしまう。