俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
わかる。…わかるんだよ、おまえの考えてること。恐ろしいぐらいに。
恐ろしすぎて、動悸に近いぐらいの胸の痛みに襲われる。
俺が大丈夫なら、それでいい。
…自分はどうなっていても。
何故ならば、それは『指令』だから。
任務遂行したまでのこと。
だが、そんな恐ろしいことを簡単に言ってのける『陰陽師』はイカれていると、これほど思ったことはない。
命、かかってたんだぞ…?
なずなの安否がわからない中、俺も川村もどんな思いを抱えてここにやってきたと思ってるんだ?
まさか、俺が無事で、ミッション成功して満足してるんじゃねえだろな?
だとしたら…大間違いだ!
今すぐに、ここから飛び出して一言怒鳴ってやりたい衝動に駆られる。
…だが。
「なずぽ!…おまえ、何なんだよ!」
俺と同じような感情を持ってるヤツが、先に口を開いてしまった。
川村だ。
その後ろ姿は、肩をブルブル震わせている。
「なずぽんこと心配して来とるっつーのに、そのきゅうり状態で『運良く』とか『私のことはいい』とか何だい!おめえが一番やばすだろ!」