俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

「わ、わかった。悪かったよ…あんま怒んなって。こんなこと滅多にないから、気にすんな」

「その言い訳、おざなり過ぎるわ。逃げんなあほ」

取り敢えず、丸く収めようとしていたのが速攻でバレてる。

ヤツは、あはは…と苦笑いを浮かべていた。



「と、とにかく。こんな見てくれだから、しばらくは学校に行けない。だから頼むわ」

「頼むわって何だ。…伶士殿のことか?」



トゲのある言い方に、「うっ…」と声を漏らしながらも頷いている。



…その時。

今度は俺がムカッとした。



「ま、まあ、そんなとこ」



そうじゃない。そうじゃないぞ。

俺のこと、他の誰かに頼むな…!



…俺のことは、俺に直接聞かせてくれ。



そう思うと、何も考える間もなくそこから飛び出していた。



「…てめえで言え」

「は?…しばらくは無理だ。こんな姿…」

「てめえで言えぇっ!…たこ!」

「…どけっ!」



駆け出して、飛び込むように二人の間に入る。

俺の叫び声にいち早く反応した川村は、身軽にひょいと後退し、俺に道を開ける。



「はっ…?」



突然目の前に現れた俺を見上げて、ヤツは唖然としていた。
< 357 / 541 >

この作品をシェア

pagetop