俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
『なのに、なずなちゃんはいつもおまえをまもることばっかかんがえて…おまえなんかなにもできないくせに!』
この苦しみが、罰なのか。
思考が、持っていかれる。
…あのホテルの屋上で、俺を庇ってなずなが倒れる場面や。
目の前で、なずなが黒い炎に包まれて燃やされる場面が、頭の中を巡って意識を離さない。
俺にとっては、直視出来ないぐらいこの上なく酷で信じたくなくて、二度と起こってはならないと、心に誓った出来事が。
俺の知らないところで起きていたなんて、予想を遥かに超えるもいいところだ。
なんてことだ…。
まさか、自分の式神が見えなくなるくらい霊力を失うとか、丸焦げになって回復しなかったら死んでいたところだったとか。
こんなリアルに命に関わることが起きたという事実を、想像したか?
…いや、想像は出来たはずなんだ。
それなりの覚悟を持って、俺はここに来たはずなんだ。
なのに…俺は『会いたい』『知りたい』気持ちが前に出ていたため、恥ずかしい話、そこまでの想像に至らなかった。
甘かったんだ、俺は。
甘かった…。
自分そのものに、愕然とさせられる。